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年をとると心理的に成熟し事故が減るというウソ

年をとると身体的な能力は衰えて行きますが、心理的な面では若い人より円熟し、身体的な衰えをカバーして余りあるのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、残念ながら実際はそうではありません。

もちろん情緒面では落ち着いてきますので、自ら危険運転を行う可能性は低くなってきますが、その反面「複雑な作業を同時に行う」とか「複雑な情報を同時に処理する」ということが難しくなってきます。つまり、一つの作業や行動をしている時に、次の作業や行動をしだすと、前のものを忘れてしまうのです。これは、情報を処理する際でも同じ傾向にあります。

車の運転では、絶えず複数の情報を処理しながら運転しています。サイドミラーを見ながら、ブレーキを踏んで速度を落とし、ウインカーを出しながらアクセルに足を置き、目視とミラーで確認しながら車線変更を行い、同時に前方の信号と車のテールランプを確認するなどを、数秒で行います。しかし、年をとるに連れて、このような同時並行処理が苦手となってきます。

また、人間は「自分を中心に物事を決定」しがちですが、これは年をとるにつれて、ますますその傾向が強くなってくることも指摘されています。これは脳に関係している現象ですので、気を付けてなおるものではありませんが、なんであれ問題は、「自分が意識すること」から改善されます。

このように心理的な衰えがあるにも関わらず、いつまでも「若い人に負けている訳がない」という気持ちだけで運転していると、大きな事故を引き起こす結果となる可能性も十分に考えられますので注意が必要です。